うさぎの時代庵

時代小説、時代劇の作品感想を書いています。司馬遼太郎、海音寺潮五郎作品が大好き。新選組、幕末物が大好き。

柳広司「ダブル・ジョーカー」角川書店

「ジョーカー・ゲーム」の続編。 「ジョーカー・ゲーム」は第二次世界大戦直前、日本が中国との戦争を始めた頃の出来事を描いたスパイ小説。日本陸軍の異端的機関、D機関。いわゆるスパイ養成学校。このD機関のスパイたちの暗躍を描いた作品でした。D機関…

「私学校蜂起 小説・西南戦争」尾崎士郎 河出文庫

「人生劇場」で有名な尾崎士郎が、西南戦争をテーマに「私学校蜂起」「可愛嶽突破」「桐野利秋」「波荒らし玄洋社」の4編を書いたもの。それぞれが、西南戦争の様相を丁寧に臨場感を持って描き出しています。それぞれの現場、というか現地の様子が丁寧に描か…

「紅の肖像 土方歳三」 遊馬佑 文芸社

戦って戦って戦いぬく男、土方歳三。鬼のように書かれることが多い歳三様ですが、実際にはいろいろ悩んだり、揺らいだり、落ち込んだり、弱気になったり、泣きたくなったりしたでしょう。そういう人間らしい悩みの部分までも書いた歳三様のお話です。 弱さを…

「新選組の舞台裏」菊池明

「新選組の舞台裏」はノンフィクション(98%は)。いろいろな物証をもとに、新選組の意外と知られていない事実を語る短編集です。新選組ファン、特に土方歳三ファンにはたまらない一冊になっています。 例をあげれば・・・ ・土方歳三が暮らした家 ・土方…

「夏草の賦」司馬遼太郎 文春文庫

「戦雲の夢」で長宗我部盛親を紹介しましたので、お祖父さんに当たる長宗我部元親のお話も紹介したいと思います。「戦雲の夢」に続き、この「夏草の賦」も私の中では司馬遼太郎作品ベスト5に入っています。 土佐の長曾我部元親の一生を描いた作品です。土佐…

「戦雲の夢」司馬遼太郎 講談社文庫

長曾我部元親の孫、長曾我部盛親の一生を描いたお話。 私としてはこの作品、司馬遼太郎作品のベスト5に入る傑作だと思います。司馬作品のエンディングは、「そしてすべて消え終わった」という、時代の空しさを感じさせるものが多いけれど、この作品は違いま…

「世に棲む日々」 司馬遼太郎 文春文庫

幕末の長州藩の狂騒たるや、小説でもこういうわけにはいかないというほど、変化に富んでいて、ドラマティックで、登場人物たちが激情家ばかりで、藩まるごと発狂したとしか思えないような展開です。でも、その発狂のおかげで、日本は明治維新へと向かい、近…

「十一番目の志士」司馬遼太郎 文春文庫(上・下)

天堂晋助という長州藩の人斬りが主人公の幕末時代小説。 この晋助さんは、実在の人物ではありません。この小説を読んでいると、まるで晋助さんが実際に存在したような書き方で、司馬さんの術中にはまってしまいますが、全くの架空の人物。高杉晋作と知り合っ…

「史談 切り捨て御免」海音寺潮五郎 文春文庫

海音寺さんといえば、西郷隆盛。私の中ではそういうイメージです。この本は海音寺さんの歴史上の人物に対する考えとか、自分の創作についてのお話、それに故郷、薩摩への思いを集めた短編集です。 海音寺さんはこの本の中で一章を割いて、「大西郷そのほか」…

「禁じられた敵討」中村彰彦 文春文庫

中村さんは明治維新の敗者側を主人公にした作品を多く書いています。この本はそんな中村さんの初期の作品ながら真骨頂。傑作短編集です。しかも、すべて史実をもとにして、実際に存在した人物を主人公にすえて書かれたお話なのです。 お話の最後に中村さんが…

「豊臣家の人々」司馬遼太郎 角川文庫

豊臣家の人々といっても、豊臣秀吉その人ではなく、秀吉を取り巻いた人々のお話。 でも、周囲の人々を描くことによって、その中心にいた秀吉の姿も浮かび上がってくるというしかけ。 登場するのは、摂政関白と呼ばれた秀吉の甥、秀次、ねねの甥の小早川秀秋…

「土方歳三・孤立無援の戦士」 新人物往来社編

私は15歳から土方歳三さまファン。このまま、たぶん、死ぬまでファンです。 だから、土方歳三さまが登場する本や映画やテレビは全部見たい、読みたい。歳三さまの生き様を調べたい。歳三さまが生きてきた道をたどって、京都だろうと函館だろうと多摩だろうと…

「新選組裏表録 地虫鳴く」木内昇 集英社文庫

「新選組 幕末の青嵐」に続く木内さんの新選組もの。 今回の主人公は、わりとマイナーな新選組メンバー、阿部十郎(近藤さんを墨染で銃撃したといわれている)、尾形俊太郎(山崎さんと一緒に監察方だった)、篠原泰之進(伊東甲子太郎の腹心)の3人。いえ、…

「天主信長 我こそ天下なり」上田秀人 講談社

まったく新しい視点から本能寺の変を描いた作品。 なぜ、明智光秀は本能寺で信長を殺したのか? なぜ、秀吉が信長の後継者となりえたのか? なぜ、信長はキリスト教布教を許したのか? なぜ、信長の遺体が見つからないのか? 本能寺にまつわる様々なナゾに対…

「歳月」司馬遼太郎 講談社文庫

私はこの「歳月」というタイトルが好きです。「時世」といいかえてもいいかもしれない。この本の主人公は、江藤新平。明治維新政府の司法卿であり、佐賀の乱を起こしてあっけなく敗死してしまった方の生涯を描いた作品。 江藤さんという人は卓越した秀才であ…

「異説幕末伝」 柴田錬三郎 講談社文庫

柴田さんは痛快でちょっとニヒルな時代小説を書かれますね。けっこうエログロナンセンスみたいなシーンも描くけれど、女性への永遠の憧れみたいなものを隠しつつ、という感じがいいです。 歴史の王道を歩く人物ではなく、クールに時代に背を向けて生きる主人…

「新撰組捕物帖 源さんの事件簿」秋山香乃 河出書房新社

面白かったです!秋山さんの新選組モノでは私はこの本が一番好きです。 通常、新選組ものでは主役にならない井上源三郎さんが主役で、しかも「捕物帖」ですから、探偵チックなのです。 新選組の歴史を時間をおって書いていくのではなく、源さんの京での日常…

「天まであがれ!」木原敏江 秋田文庫

号泣新選組漫画。何回読み返しても、ラストで号泣。もう泣けて、泣けて・・・。 1975年、週間マーガレットに連載された作品なので、かなり昔の作品です。名匠木原敏江先生の入魂の作品。でも、連載は7ヶ月で打ち切りになり、木原先生はかなり悔しかったよう…

「レトロ・ロマンサー弐 いとし壬生狼」 鳴海章

これは、歴史SFともいうべきジャンルですかね。 主人公の桃井初音さんは、古い物に触ると、その過去へ意識が飛んでしまうという、意識だけタイムトラベラーのような能力があります。彼女が新選組ゆかりの古い備忘録に触れて、幕末の池田屋に意識が飛び、松…

「王城の守護者」司馬遼太郎 講談社文庫

いまも松平容保の怨念は東京銀行の金庫に眠っている。 東京銀行ということは、今の三菱UFJ銀行ということですね。 「王城の守護者」とは幕末、京都守護職にあたった会津藩の松平容保のことです。嫌だったけど無理やり幕府の命により、幕末京都の治安維持…

「土方歳三散華」広瀬仁紀 小学館文庫

アマゾンプライムで岡田准一が土方歳三様を演じる映画「燃えよ剣」の配信がスタートして(2022年6月22日現在)、最近土方歳三熱がぶり返している私です。 この「土方歳三散華」は土方歳三様の、池田屋事変後から、五稜郭で戦死するまでの生き様を描い…

「人斬り半次郎」池波正太郎 新潮文庫

幕末編と賊将編の2冊です。 幕末に人斬り半次郎と言われた薩摩の中村半次郎。維新後の名前が桐野利秋。半次郎の一生を描いた池波先生の力作です。司馬遼太郎先生が書く半次郎と、全然違うのですよね。池波作品の半次郎は、半分は女性と戯れております(笑)…

「土方歳三無頼控 六 バラガキ・旅立」「土方歳三無頼控 五 バラガキ・苦悩」潮美瑶 文芸社

土方歳三無頼控、六巻で一応終わりのようです。六巻で、土方歳三たちは、京都へ旅立ちます。京都へ旅立った後は「新選組」として忙しい日々が始まりますから、謎解きをしている暇は歳三様にはなくなりますから、ここで「無頼控」はエンドということなのでし…

「土方歳三無頼控 一 バラガキ・参上」潮美瑶  文芸社

とても面白かったです! 新選組モノの快作に出会えました。三つの連作で、二巻は「覚悟」で、三巻は「奮闘」です。 京都時代の新選組については冒頭池田屋事変の場面が出てくるだけで、あとは江戸の試衛館時代の土方歳三様の成長し、覚悟を決めて、自分の道…

「忍びの国」 和田竜 新潮社

大盗賊になる前の石川五右衛門(この本の中では文吾)の話かと思いきや、和田さん創作の無門という名の忍者が主人公。 和田さんの一作目「のぼうの城」の方が評判高いようですが、私は物語の深みとしてはこちらの「忍びの国」の方があると思います。「のぼう…

「明智左馬助の恋」加藤廣 日本経済新聞社

加藤さんの「信長の棺」は面白かったですねえ。本能寺で明智光秀に攻められて死んだ織田信長だが、実は本能寺で「是非におよばず」とかいって自殺したわけではなく、抜け穴から本能寺を逃れたが、しかし結局・・・。そして、信長の死の真相は豊臣秀吉が知っ…

「手堀り日本史」司馬遼太郎 文春文庫

この本は司馬さんが自分の歴史観や歴史上の人物についての思いや、自分の作品の成り立ちなど、さまざまに語ったものを編集したもの。司馬さんのナマの声がたくさん詰まっていると思います。土方歳三様のこと、坂本竜馬のこと、西郷隆盛さんのこと、織田信長…

「田原坂」海音寺潮五郎 文春文庫

西南戦争についての小説集。もう、この本ほど、当時の薩摩の実情、人々の気持ちを表現しえた本があるだろうか!?いや、ない!と、私は思います。もう、涙なしには読めませんよ、この本は。西南戦争に関する時代小説の中ではナンバー1!だと思います。 この…

「新選組 幕末の青嵐」木内昇 集英社文庫

「青嵐」とは俳句の初夏の季語。この作品が木内さんの処女作であり、文学賞を取った「茗荷谷の猫」という作品の前に書かれたものです。そして、この本を読んでわかったのは、木内さんが新選組大好きだってことと、沖田総司大好きだってことです。いえ、そう…

人斬りたちの最期-三刺客伝 海音寺潮五郎「幕末動乱の男たち 下巻」(新潮文庫)より

前にこのブログで紹介した海音寺潮五郎先生の「幕末動乱の男たち」。その下巻の最後に、海音寺先生ならではの、幕末の人斬りと呼ばれた3人の剣客についての史伝が載っています。これが、とてもオススメなのです。 人斬り○○○と呼ばれた3人、田中新兵衛、岡田…