うさぎの時代庵

時代小説、時代劇の作品感想を書いています。司馬遼太郎、海音寺潮五郎作品が大好き。新選組、幕末物が大好き。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「世に棲む日々」 司馬遼太郎 文春文庫

幕末の長州藩の狂騒たるや、小説でもこういうわけにはいかないというほど、変化に富んでいて、ドラマティックで、登場人物たちが激情家ばかりで、藩まるごと発狂したとしか思えないような展開です。でも、その発狂のおかげで、日本は明治維新へと向かい、近…

「十一番目の志士」司馬遼太郎 文春文庫(上・下)

天堂晋助という長州藩の人斬りが主人公の幕末時代小説。 この晋助さんは、実在の人物ではありません。この小説を読んでいると、まるで晋助さんが実際に存在したような書き方で、司馬さんの術中にはまってしまいますが、全くの架空の人物。高杉晋作と知り合っ…

「史談 切り捨て御免」海音寺潮五郎 文春文庫

海音寺さんといえば、西郷隆盛。私の中ではそういうイメージです。この本は海音寺さんの歴史上の人物に対する考えとか、自分の創作についてのお話、それに故郷、薩摩への思いを集めた短編集です。 海音寺さんはこの本の中で一章を割いて、「大西郷そのほか」…

「禁じられた敵討」中村彰彦 文春文庫

中村さんは明治維新の敗者側を主人公にした作品を多く書いています。この本はそんな中村さんの初期の作品ながら真骨頂。傑作短編集です。しかも、すべて史実をもとにして、実際に存在した人物を主人公にすえて書かれたお話なのです。 お話の最後に中村さんが…

「豊臣家の人々」司馬遼太郎 角川文庫

豊臣家の人々といっても、豊臣秀吉その人ではなく、秀吉を取り巻いた人々のお話。 でも、周囲の人々を描くことによって、その中心にいた秀吉の姿も浮かび上がってくるというしかけ。 登場するのは、摂政関白と呼ばれた秀吉の甥、秀次、ねねの甥の小早川秀秋…

「土方歳三・孤立無援の戦士」 新人物往来社編

私は15歳から土方歳三さまファン。このまま、たぶん、死ぬまでファンです。 だから、土方歳三さまが登場する本や映画やテレビは全部見たい、読みたい。歳三さまの生き様を調べたい。歳三さまが生きてきた道をたどって、京都だろうと函館だろうと多摩だろうと…

「新選組裏表録 地虫鳴く」木内昇 集英社文庫

「新選組 幕末の青嵐」に続く木内さんの新選組もの。 今回の主人公は、わりとマイナーな新選組メンバー、阿部十郎(近藤さんを墨染で銃撃したといわれている)、尾形俊太郎(山崎さんと一緒に監察方だった)、篠原泰之進(伊東甲子太郎の腹心)の3人。いえ、…

「天主信長 我こそ天下なり」上田秀人 講談社

まったく新しい視点から本能寺の変を描いた作品。 なぜ、明智光秀は本能寺で信長を殺したのか? なぜ、秀吉が信長の後継者となりえたのか? なぜ、信長はキリスト教布教を許したのか? なぜ、信長の遺体が見つからないのか? 本能寺にまつわる様々なナゾに対…

「歳月」司馬遼太郎 講談社文庫

私はこの「歳月」というタイトルが好きです。「時世」といいかえてもいいかもしれない。この本の主人公は、江藤新平。明治維新政府の司法卿であり、佐賀の乱を起こしてあっけなく敗死してしまった方の生涯を描いた作品。 江藤さんという人は卓越した秀才であ…