うさぎの時代庵

時代小説、時代劇の作品感想を書いています。司馬遼太郎、海音寺潮五郎作品が大好き。新選組、幕末物が大好き。

司馬遼太郎

「夏草の賦」司馬遼太郎 文春文庫

「戦雲の夢」で長宗我部盛親を紹介しましたので、お祖父さんに当たる長宗我部元親のお話も紹介したいと思います。「戦雲の夢」に続き、この「夏草の賦」も私の中では司馬遼太郎作品ベスト5に入っています。 土佐の長曾我部元親の一生を描いた作品です。土佐…

「戦雲の夢」司馬遼太郎 講談社文庫

長曾我部元親の孫、長曾我部盛親の一生を描いたお話。 私としてはこの作品、司馬遼太郎作品のベスト5に入る傑作だと思います。司馬作品のエンディングは、「そしてすべて消え終わった」という、時代の空しさを感じさせるものが多いけれど、この作品は違いま…

「世に棲む日々」 司馬遼太郎 文春文庫

幕末の長州藩の狂騒たるや、小説でもこういうわけにはいかないというほど、変化に富んでいて、ドラマティックで、登場人物たちが激情家ばかりで、藩まるごと発狂したとしか思えないような展開です。でも、その発狂のおかげで、日本は明治維新へと向かい、近…

「十一番目の志士」司馬遼太郎 文春文庫(上・下)

天堂晋助という長州藩の人斬りが主人公の幕末時代小説。 この晋助さんは、実在の人物ではありません。この小説を読んでいると、まるで晋助さんが実際に存在したような書き方で、司馬さんの術中にはまってしまいますが、全くの架空の人物。高杉晋作と知り合っ…

「豊臣家の人々」司馬遼太郎 角川文庫

豊臣家の人々といっても、豊臣秀吉その人ではなく、秀吉を取り巻いた人々のお話。 でも、周囲の人々を描くことによって、その中心にいた秀吉の姿も浮かび上がってくるというしかけ。 登場するのは、摂政関白と呼ばれた秀吉の甥、秀次、ねねの甥の小早川秀秋…

「歳月」司馬遼太郎 講談社文庫

私はこの「歳月」というタイトルが好きです。「時世」といいかえてもいいかもしれない。この本の主人公は、江藤新平。明治維新政府の司法卿であり、佐賀の乱を起こしてあっけなく敗死してしまった方の生涯を描いた作品。 江藤さんという人は卓越した秀才であ…

「王城の守護者」司馬遼太郎 講談社文庫

いまも松平容保の怨念は東京銀行の金庫に眠っている。 東京銀行ということは、今の三菱UFJ銀行ということですね。 「王城の守護者」とは幕末、京都守護職にあたった会津藩の松平容保のことです。嫌だったけど無理やり幕府の命により、幕末京都の治安維持…

「手堀り日本史」司馬遼太郎 文春文庫

この本は司馬さんが自分の歴史観や歴史上の人物についての思いや、自分の作品の成り立ちなど、さまざまに語ったものを編集したもの。司馬さんのナマの声がたくさん詰まっていると思います。土方歳三様のこと、坂本竜馬のこと、西郷隆盛さんのこと、織田信長…

「翔ぶが如く」司馬遼太郎 文藝春秋

明治維新から西南戦争までの、薩摩の人々のお話。この時期、薩摩を中心に日本が動いていたようなもので、もっといえば、薩摩の西郷隆盛と大久保利通の二人に日本が振り回されたとでもいいましょうか。西南戦争で西郷隆盛が滅び、薩摩隼人が滅び、日本は維新…

「新選組血風禄」司馬遼太郎 中公文庫

司馬遼太郎の新選組物といえば、「燃えよ剣」と「新選組血風禄」。 「新選組血風禄」は短編集で、登場人物は様々。 「油小路の決闘」「芹沢鴨の暗殺」「長州の間者」「池田屋異聞」「鴨川銭取橋」「虎徹」「前髪の惣三郎」「胡沙笛を吹く武士」「三条磧乱刃…

「燃えよ剣」司馬遼太郎 新潮文庫

燃えよ剣 土方歳三という男の生き様を描ききった、司馬さん渾身の一作。たしか、司馬さんが自分の作品の中で好きな作品を聞かれて、この「燃えよ剣」を挙げていました。「男の典型を一つずつ書いてゆきたい。」と司馬さんはあとがきで書いていますが、歳三さ…